診療科目 一般内科・糖尿病内科・循環器内科・アレルギー科
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糖尿病内科 DIABETES

糖尿病

糖尿病は、血液中に含まれる糖分(ブドウ糖)の濃度(血糖値)が慢性的に高い状態になる代謝疾患です。

ブドウ糖(米やパンなどの糖質を食べることで作られる)は、人間が活発に活動するために必須なエネルギー源であり、脳や体を動かすのに欠かせないものです。 過食により生じた過剰なブドウ糖は、脂肪細胞の中に蓄えられます。

わたしたちの体の中で、血糖コントロールに重要な役割を担っているのが、膵臓で生成されるホルモンのインスリンです。インスリンが出ていても何らかの原因でインスリンが効きにくい状態になったときや(インスリン抵抗性の増大)、インスリンの分泌量が少ない状態になる(インスリン分泌不全)と血液中にブドウ糖が溢れるようになります。

この状態が悪化すると、最終的に血糖値が上昇したままとなり、様々な合併症を発症するようになります。

その他、糖尿病の症状から治療まで説明させていただきます。その他、糖尿病についてのご不明な点は何でも遠慮なくご相談ください。

糖尿病の症状

こんな症状にお気づきのかたは受診をお勧めします。

  • 健診等で「血糖値の異常」を指摘された
  • このごろ目立って太ってきた
  • 過食してしまうことが多い
  • 急に甘いものがほしくなる
  • よく食べているのに痩せる
  • ひどく喉が渇く
  • 尿の回数が多く、量も多い
  • 尿の臭いが気になる
  • いつも残尿感がある
  • 下腹部が痒い
  • 手足が痺れる
  • 足がむくむ
  • やけどや怪我の痛みを感じない
  • 視力が落ちてきた など

糖尿病の合併症

高血糖の状態が長く続くと、自覚症状がなくても血管や神経はダメージを受けるようになります。 その状態を放置すると、やがて動脈硬化による血管障害が起き、危険な合併症が生じます。

糖尿病では病状が悪化するまでは自覚症状が現れることは少ないのですが、重症糖尿病では筋肉量も減少します。 疲れやすくなり(倦怠感)、食欲はあるのに体重が減るほか、異常な喉の渇きや、尿量の増加などの症状がみられます。

糖尿病の三大合併症

糖尿病の三大合併症

糖尿病の合併症には、以下の三大合併症の他、大血管障害(心筋梗塞や脳梗塞、末梢動脈性疾患など)があります。 また、当院では、眼科専門医との連携を取って患者様へより良い医療の提供を目指しています。

  • 糖尿病網膜症
  • 糖尿病性神経障害
  • 糖尿病性腎症

糖尿病の検査について

糖尿病の診断にあたっては、血液検査や経口ブドウ糖負荷試験などによる慢性高血糖の確認、および症状、臨床所見、家族歴、体重変化などを参考にして、総合的に判断します。 また、糖尿病は初期のうちは自覚症状がほとんどありませんので、皆様の病状を把握するためには血糖やHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)※の値を検査する必要があります。

※HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)とは

赤血球内のヘモグロビン(Hb)は全身に酸素を運搬する重要なタンパク質ですが、ブドウ糖と結合し糖化ヘモグロビンとなる性質があります。HbA1cはすべてのヘモグロビンの中で、糖化ヘモグロビンがどの程度の割合で存在しているかをパーセント(%)で表したものです。

血糖値が高くなると、より多くのブドウ糖がヘモグロビン(Hb)と結合し、糖化ヘモグロビンとなるので、HbA1cも高くなります。一旦、糖化したヘモグロビンは、赤血球の寿命(約4ヶ月/120日)が終わるまで元には戻りません。HbA1cは過去1~2ヶ月における血糖の平均を反映します。

HbA1c値は糖尿病治療において最も大切な管理指標となっており、合併症の進行との関連性も深く、7.0%未満(国際標準値)が一応のコントロールの目安となります。

糖尿病の数値(検査結果について)

糖尿病型、境界型(糖尿病予備軍)、正常型(健康な方)と診断される数値は以下の通りです。 糖尿病型は、その数値が2回確認された場合に診断されます。

糖尿病型
  • 空腹時血糖値が126mg/dl以上
  • 随時血糖値が200mg/dl以上
  • ブドウ糖負荷試験血糖値が200mg/dl以上
  • HbA1cが6.5%以上
境界型(糖尿病予備軍)
  • 空腹時血糖値が110mg/dl以上126mg/dl未満
  • ブドウ糖負荷試験血糖値が140mg/dl以上200mg/dl未満
  • HbA1cが6.5%未満
正常型
  • 空腹時血糖値が110mg/dl未満およびブドウ糖負荷試験血糖値が140mg/dl未満

糖尿病の種類

糖尿病は大きく「1型」と「2型」の2種類に分けられます。

1型糖尿病

インスリン(血液中の糖を細胞内に取り込ませ、血糖値を下げる働きをしているホルモンの一種)を産生する膵臓の細胞(膵β細胞)がある時点を境に壊れていき、インスリンが分泌されなくなってくる疾患です。 若いうちに発症することの多いのが特徴です。

原因は、免疫系の異常反応により、自らの細胞が攻撃される「自己免疫」によるものと考えられています。 1型糖尿病では、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌が極度に低下するか、またはほとんど分泌されなくなるため、血液中のブドウ糖が異常に増加し、重篤な症状を引き起こす状態に陥ります。

2型糖尿病

生活習慣による影響が強く、日本人に最も多いタイプの糖尿病です。 加齢や遺伝的要因のほか、食べ過ぎや運動不足、肥満、ストレス、などが要因となります。 これらの長期に及ぶ生活習慣の乱れから、インスリンが効きにくい状態となり、最終的にはインスリンの分泌そのものも低下していきます。

なかでも食べ過ぎと運動不足による肥満は、2型糖尿病の最大の誘引と言われています。 日本における糖尿病患者の95%以上は、2型糖尿病です。 このほかにも、他の病気(急性・慢性膵炎、膵臓癌、肝疾患、内分泌疾患など)や薬剤(ステロイド、抗精神病薬、ホルモン剤、利尿剤など多数)が原因で発症する二次性糖尿病や妊婦に発症しやすい妊娠糖尿病もあります。

糖尿病の治療

糖尿病の種類によって治療方法が異なります。

1型糖尿病の治療

インスリンがほぼ100%分泌されない状態ですので、インスリンを体外から注射によって補充することで(インスリン療法)、血糖値を適切にコントロールします。

2型糖尿病の治療

糖尿病は現在のところ完治させることはできませんので、生涯にわたり治療を続けていく必要があります。 だからと言って、気が重くなる必要はありません。

糖尿病そのものは治せなくても、血糖値を正常に保ち、同時に体重や血圧、脂質も良好な状態に保てば、糖尿病による合併症、すなわち糖尿病細小血管合併症(網膜症、腎症、神経障害)や大血管障害(冠動脈疾患、脳血管障害、末梢動脈疾患)を起こさずに、健康を生活することは十分に可能です。

そして、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)の維持、および健康な人と変わらない寿命の確保もできるようになります。 血糖値を正常に保つ上で重要になるのが、継続的な「血糖コントロール」です。 医師の指導のもと、まずは食事療法と運動療法を行います。 これだけで正常値になる方もおられます。

糖尿病が進行したケースや、食事療法や運動療法だけでは効果が不十分と判断されれば、薬物療法として血糖を下げる経口血糖降下薬も用います。 それでも困難な場合は、薬物療法(*インスリン療法)の適応となります。

糖尿病治療の実際

食事療法

糖質や脂質の量を減らして適性エネルギーの摂取を心掛けます。 野菜を十分に含んだ栄養バランスのとれた食事を規則正しく摂ることが大切です。

運動療法

「有酸素運動」と「レジスタンス運動」の2種類の運動を組み合わせると効果的です。 「有酸素運動」は、ウォーキングやサイクリング、水中歩行など、酸素を必要とする運動で、負荷が比較的軽いものです。 有酸素運動は、全身の筋肉を使うことで、血糖値が短時間で下がり、コレステロールや中性脂肪、体脂肪を減らすことができます。

一方、スクワットやダンベル体操など、筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返す運動が「レジスタンス運動」です。 スクワットのような自分の体重を利用して行う運動を行うときは、しゃがみ込む深さを調節する、机などに手をついて行う、何かを持って行うなどの工夫で負荷の調節ができます。

レジスタンス運動を続ければ、筋肉量や筋力が増加し、インスリン抵抗性が改善され、インスリンの効きやすい体に変わっていきます。 これら2種類の運動を適切に組み合わせることが糖尿病の改善に役立つと考えられます。

薬物療法(*インスリン療法)

注射により体外からインスリンを補って、健常な人の血中インスリンの変動をできるだけ忠実に再現する治療法です。誤解が少なくないのですが、インスリン療法は糖尿病の最終的な治療手段というわけではありません。昨今、良好な血糖コントロール状態を保ち、合併症を防ぐために、また患者様の膵臓を保護するために、糖尿病治療の比較的早い段階から開始するケースが増えています。

眼科専門医との連携

糖尿病性網膜症を合併している場合には、眼科専門医の先生方と連携しながら内科的治療を進めていきます。 未治療・未精査の糖尿病の方が初めて受診された場合、当院では内科的治療の開始と同時に、糖尿病性網膜症について眼科専門医の先生に御評価いただきます。 糖尿病性網膜症は重症化すると失明に至るため、早期治療が非常に重要です。

二次性糖尿病の場合は、糖尿病の治療とともに原因である疾患の治療も併行して行います。